戦士のポーズは英雄のポーズとも呼ばれ、インドの神話に登場する、シヴァ神の髪の毛から生まれた戦士たちを表しているといわれています。
名前の通り、力強い脚に堂々と開いた両手と、勇敢でたくましいダイナミックなポーズです。
この戦士のポーズをとることで「自分に自信がつく」「気分が前向きになる」という効果が生まれると言われています。
この記事では戦士のポーズの効果と自分に自信がつく根拠。そしてポーズのやり方を紹介します!
ヨガ初心者から上級者まで!おすすめの「戦士のポーズ1~3」について
なぜ自分に自信がつくの?
なぜヨガのポーズで気分がよくなるのでしょう。「ただのプラセボ効果では?」と思ったあなた!
実は科学的に裏付けされた根拠がちゃんとあるんですよ。
“自信”や“力強さ”を測る時、注目すべきホルモンが2つあります。支配性を司るテストステロンと、ストレスを司るコルチゾールです。
力強く有能なリーダーは、総じてテストステロン値が高く、コルチゾール値が低いという特徴があります。リーダーをやるような人は、自信があり、断定的であり、更にストレスにも動じないというのが、ホルモンからも伺えます。
足をしっかりと地面につけ、胸を開き、肩の力が抜けている「ハイパワー・ポーズ」を取ることで、ホルモン値が変化することが分かっています。
この実験を行ったのはハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・カディ准教授らの研究チーム。
非言語コミュニケーションが人間にどのような影響を与えるかについて日夜研究している社会学研究科です。
彼らの実験によると、身体を大きく広げるようなハイパワー・ポーズは、幸福感ややる気を高め、ストレスを減らすという結果となり、一方、身体を小さく縮めるようなローパワー・ポーズは、逆効果となるという結果が得られました。
参考図書:Amy Cuddy『Presence Bringing Your Boldest Self to Your Biggest Challenges』2015
研究の概要
①まず、被験者の唾液を採取し、それらのテストステロンおよびコルチゾールレベルを測定。
②次に、被験者に2分間、ハイパワー・ポーズか、ローパワー・ポーズのいずれかのポーズをとってもらう。
③最後に、ポーズをとった後の唾液を採取し、再度テストステロンおよびコルチゾールレベルを測定。
結果、ハイパワー・ポーズは、テストステロンを20%増加させ、コルチゾールを25%減少させることが判ったのです。
力強いポーズをとることでメンタルと行動に影響を及ぼすことの証明といえますね。
つまり戦士のように胸を張り、斜め上を向いて両手をあげる力強いこのポーズは、自分自身に向けて“自分には力がある”“自分にもできる”という自分自身へのメッセージでもあるのです。
力強いポーズをとるとメンタルに変化が出る、というメソッドは、特にナーバスになりがちな状況でも役に立ちます。
力強いポーズと自信のないポーズをするグループにわけ、それぞれポーズをとってもらった後に模擬就職面接を行った実験では、「採用したい」と選ばれた人は全て力強いポーズを行った後に面接を受けた人でした。
グループ間に現れた違いは、面接官に与えた “印象”です。
面接官は、どの人が力強いポーズを行った人なのか知らない状態で採用したい人を選んでいます。つまり大切なのは、力強いポーズをするところを他人に見せつけることではなく、自分自身に向けて“自分には力がある”ということを行動・ポーズで示すことなのです。
大事なプレゼンの前、テストの前、デートの前などなど、「自分に自信をつけたい」と思う行動の前にぜひ戦士のポーズを行ってみてください。たった2分間であなたの心は確実に変化します。
戦士のポーズ1(ウォーリア1・ヴィラバドラーサナⅠ)
足を大きく踏み出しながら腰を落として、天に向かってしっかりと腕を伸ばす動きは、自分の中の強さを見つけ、やる気を奮い立たせてくれます。
骨盤矯正に効果的で、体幹の強さとともに股関節の柔軟性が高まります。肩こり・腰痛などにも効きます。
後ろ足を45度に開くことで骨盤も傾きやすくなります。しっかりとおへそを正面に向けることを意識しましょう。
股関節・膝・足首を痛めている場合は避けましょう。
肩を痛めている場合は、腕を挙げずに手を腰にあてるなどしてもOKです。首や背中を痛めている場合は、背中をそらさず目線はまっすぐ前に保ちましょう。
【手順】
1.マットの前に両足を揃えた状態で立つ。
2.1の姿勢から左足を大きく後ろに引き、つま先を正面よりやや外側(45度が目安)に向ける。
3.骨盤を正面に向けたまま、右の膝がかかとの真上に来るまで曲げて、腰を沈める。同時に、左足で床を踏みしめる。
4.左右の足裏で均等に床を踏みしめながら、両手を頭上に上げる。そのまま3~5呼吸キープ。足を入れ替えて、反対側も同様に行う。
4の完成ポーズから天井を見上げるように、顔を少し上に向けると後屈の動きが生まれ、胸の解放感がより一層味わえます。
腰が反り過ぎないように注意してください。
【効果】
腸腰筋、大殿筋、大腿四頭筋、ハムストリングスの強化、下半身の安定、二の腕引き締め、集中力アップ
戦士のポーズ2 (ウォーリア2・ヴィラバドラーサナⅡ)
「戦士のポーズ2」では、大地を踏みしめ、しっかり土台を安定させていくことが大切です。
初心者でも取り組みやすいポーズですが、下半身ばかりに意識が向いてしまうと両手の高さがバラバラになり、両手の高さに中利意識が向いてしまうと腰がだんだんと浮いてきてしまう奥が深いポーズです。
両足の力を丹田で受け止め、肩の力は抜きましょう。
指先にまで酸素を届けるような意識を持つとポーズをキープしやすいでしょう。
【手順】
1)ターダーサナで立ち、足のスタンスが両腕を広げた程度になるように右足を後ろに引きます。右足の位置は、左足のかかとの延長線上に右足の土ふまずが来る位置に置きますが、難しいようであれば少し外側(胸の方向)に置いても構いません。右足首の向きは少しだけ内側(5°程度)に向けます。左膝と左足の人差し指がまっすぐ前を向くように、股関節を外回しします。
2)吸いながら両手を頭上へ伸ばします。肩はすくめず、耳と肩の間に風が抜けるように、上半身はなるべく余計な力が入らないようまっすぐに、頭頂は高い位置に保ちます。
3)吐きながら、両手を鎖骨の延長上に開いて、左膝を曲げていきます。後ろの腕は見えてないので下がりがちですが、前後の腕を引っ張り合うようにしてまっすぐ伸ばします。目線は左手の中指の先へ。左膝を曲げて骨盤を下げていきます。左膝の真下にかかとが来るように、膝が内側に入らないようにまっすぐ前を向けます。かかとよりも膝が前に出てしまうようであれば、右足を少し後ろへ引いてスタンスを広げます。
右膝はしっかり伸ばします。
4)坐骨は床の方へ向けて骨盤を立てながら、左股関節はしっかり外回しして左膝をまっすぐ前へ向けます。
5)骨盤と膝の向きを保ったまま、出来る範囲で骨盤を低くしていきます。左太ももが水平になる低さを目指します。5呼吸ほどキープし、吐く息と共に骨盤底を下げていくようにします。
6)吸いながら左脚を伸ばして両腕を頭上へ伸ばし、吐きながら腕をおろしながら右足を前に戻してターダーサナに戻ります。左側も同様に行います。
【効果】
下半身の強化、集中力アップ、お腹周り強化
平和な戦士のポーズ (リバースウォーリア・ヴィパリータヴィラバドラサナ)
「平和な戦士のポーズ」は、ウォーリアー4とも呼ばれており、戦士のポーズ2から体側をストレッチするポーズです。
下半身を鍛えながら呼吸機能をアップしてくれる効果があります。一連の流れでは呼吸を止めないように意識して行いましょう。
さらにはお腹周りから下半身の引き締めに効果的です。
難易度が一番低いので取り組みやすいでしょう。
【手順】
1)四つん這いになり、足の裏を床につけた状態で骨盤を上げていく ※頭は二の腕の間に入れ、背筋を真っ直ぐキープするダウンドッグの姿勢になります
(2)右脚を大きく踏み出し、右膝を曲げて左脚を真っ直ぐ伸ばす ※体は右脚の方向を向きます
(3)右腕を頭上に伸ばし、体の右側が伸びた状態を3呼吸キープする ※目線は真上に向けます
キープが終わったら元の四つん這いの姿勢に戻り、反対側も同様に行います。
なお、期待した効果をしっかり得るためには「体は前に出した脚の方向に常に向けておく」ことになります。
【効果】
下半身強化、呼吸機能改善、腰痛予防・改善、集中力アップ
戦士のポーズ3 (ヴィラバドラーサナⅢ)
戦士のポーズ1と2に比べて難易度が高く、バランス感覚が必要なポーズです。また、片足のみに体重をかけてバランスをとることで、体幹や下半身、腹筋を鍛えます。お腹を引き上げるイメージでポーズをとりましょう。
このポーズは筋力も柔軟性も必要で、足が震えます。場合によってはバランスを崩して手をついてしまうかもしれない。
失敗したら何度でもやり直してください。いや、手をついてしまってもそれは、失敗でしょうか?
今日もヨガをして、しっかり身体を感じているその時間に、失敗なんてありません。
フラフラしてもプルプルしても、それを感じている事そのものが「戦士のあなた」です。
身体はちゃんと動いています。立派な身体がありますよ。
他の人がうまくやっていても関係ないです。
このポーズを取るとよく集中できます。
【手順】
山のポーズ(タダアーサナ)で立ちます。胸の前で合掌し、手を天井へ持ちあげます。バランスを取りながら右足に重心をのせて左足を床から持ちあげていきます。体がTの字になるようにして、左つま先は真下に向けます。体幹を固めてバランスをとっていきましょう。
いきなり戦士のポーズ3から入らず、戦士のポーズ1→飛行機のポーズ→戦士のポーズ3とつなげるとよいでしょう。
【効果】
バランス力アップ、下半身強化、体幹強化、集中力アップ
ほかにもある!自分に自信をつけてくれるヨガポーズ
アルダチャンドラチャパーサナ
自分の信じる道に向かって立ち上がる気持ちにさせてくれるポーズと言われています。
少し難易度が高いのですが、前モモが伸びてとても気持ち良いポーズです。
1 ウッティターパールシュヴァコーナーサナの左側の姿勢から右手を腰に当て、床に目線を向ける。深く息を吸いながら、右足を(15cmほど)前に踏み出し、左手を斜めに歩かせて、前足の左外側(25㎝ほど外側)におく。
2 右脚を上げながら、左足で床をしっかり踏んでバランスをとる。右脚を上体の斜め上に引き上げて、アルダチャンドラーサナ(半月のポーズ)に入る。右脚を上体と一直線にすること。こうすると、臀部や内腿の筋肉を酷使しないですむ。膝より上のあらゆる筋肉を引き上げることによって、立っているほうの脚を働かせる。右腕を床から垂直に上げて、目線を徐々に右手先に向けていく。立っている側の脚が震えてきたら、左臀部を下に引いて臀筋を伸ばすとよい。
3 ポーズが安定したと感じたら、右手で右足の甲をつかめるように、右膝を胸に引き寄せる。
4 右手で右足の甲をつかんだら、右膝をしっかり支えて後方に振る。このポーズを十分開くには、右膝を伸ばすつもりで右足を蹴り上げようとするとよい。右腰が前に出ないように注意しながら、左臀部を下に引く。曲げている脚の太腿(右太腿)を上体と一直線に保って、太腿の外側と内側を酷使しないようにしよう。3~5回呼吸する間この姿勢を保つ。ポーズを解くには、右手を右足から離して腰に当て、立っているほうの脚を曲げ、上げた脚全体を力強く伸ばして右足を床に下ろし、ウッティターパールシュヴァコーナーサナに戻る。反対側も同様に行う。
まとめ
自分に自信がつく戦士のポーズを4つご紹介致しました。どのポーズも元気が出るエネルギッシュなポーズなので、やる気を出したいとき、気持ちが落ち込んでいるときなどに行ってみてください。自分の内側からあふれるエネルギーを感じることができるでしょう。